ようこそ、素材のセレクトショップへ。糸島・西浦漁港そば「土曜日のMATERIAL MARKET」

ようこそ、素材のセレクトショップへ。糸島・西浦漁港そば「土曜日のMATERIAL MARKET」

通常であれば捨ててしまう廃材や端材。
そうしたモノに価値を見出し、新たな素材として販売しているお店が糸島にあります。

建築家やデザイナーなど、ものづくりを生業とする皆さんが営むそこは「素材のセレクトショップ」。
インテリアやディスプレイとしての高いポテンシャルを秘めた、唯一無二のモノに出会うことができますよ。

廃材に端材、デットストック品…廃棄されてしまうものを価値ある「素材」に

土曜日のみ営業の素材店

「土曜日のMATERIAL MARKET(マテリアルマーケット)」さんがあるのは、福岡市西区の西浦漁港のそば。

その名の通り、毎週土曜日限定でオープンしている素材のお店です。

明るい陽射しがたっぷり差し込む建物は、以前、八百屋として使われていたのだそう。ガラスの引き戸から覗く店内には、木材をはじめとした商品が並んでいます。

ここまでの説明を聞いて「素材のお店とは?」と疑問に思う方も多いでしょう。

こちらでは、工場や工房などものづくりの過程で出た廃材や端材、そして売れ残りや長期間倉庫で保存されていた「デットストック」と呼ばれる在庫品を素材として販売しているのです。

木材や紙など、材料や形、大きさはさまざま。なかには溶岩石といった珍しい素材も!

ユニークな素材の数々を眺めていると創作意欲が刺激され、こんなことやあんなことに使えそう…と、さまざまなアイディアが浮かんできます。

 

「商品の持つストーリーやものづくりの過程を伝えたい」

2015年に結成し、イベントへの出店から活動をスタートした「MATERIAL MARKET」。建築家やデザイナーなど、福岡県内でものづくりに携わるメンバー6人が参加しています。

代表を務める松本哲也(まつもと てつや)さんと妻の睦(むつみ)さんです。

おふたりは、家具のプロダクトやグラフィックデザインを中心に手掛けるデザイナー。MATERIAL MARKETとして活動を始めたきっかけについて聞いてみました。

哲也さん「仕事で工場や工房を回るなかで、さまざまな素材や商品が廃棄されていることを知りました。表には出てこない珍しいものも多く、せっかくなら再利用したいと思って」

ただ販売するのではなく、お店を訪れた人に実際に見て、触れて、興味を持ってもらう。

それによって商品の持つストーリーやものづくりの過程を知ってもらいたいという思いがあり、2019年、糸島で実店舗をオープンしました。

睦さん「私達が取り扱っているのは、唯一無二のものが多いんです。1つひとつ表情が違うので、その違いを楽しんでもらえたらうれしいです」

お店に並んでいるのは普段ホームセンターでは見ることのない素材ばかり。

その魅力に惹かれて地元の人々や観光客のほか、飲食店や雑貨店、アクセサリーショップなどを営む人々がお店のディスプレイを探しに訪れるのだとか。

どれもユニークで珍しい商品ですが…なかでもおすすめの商品を3つ、紹介してもらいました!

 

陶器の花瓶?と思いきや○○○

●ITOMAKI CONE 100円(税込)

まずは一見、陶器のようにも見えるこの商品。一体何だと思いますか?

商品名から「あっ!」と気付いた方もいるでしょう。正解は、毛糸が巻きつけてあった糸巻きです。

持ってみると紙で出来ているためとても軽く、それでいてしっかりとした厚さと硬さがあります。

お店の人気商品の1つで、ドライフラワー用の花瓶やペン立てといった使い方がおすすめです。

糸巻きの内側には、毛糸の色や種類が書かれたシールがあえて貼ったままになっています。それぞれどんな毛糸が巻きつけてあったのか、知ることができるのも楽しいポイントです。

 

陶器職人が使っていたかわいらしい道具

●HAMA 440円(税込)

続いて紹介するのは、焼き物を窯に入れる際、器が歪まないよう土台部分に接着して使われる「ハマ」という道具。

ハマはいくつか種類があるものの、たいていは1回の焼き上がりで捨ててしまうそう。

有田焼や伊万里焼と同じ素材で作られているため、表面はとても滑らか。こんなに綺麗なのに1回きりだなんて、なんだかもったいない気がしますよね。

ハマは陶器で出来ているため、お香立てやオイルをたらしてディフューザーとして使うことができます。白くてかわいらしい見た目なので、どんな部屋にも馴染みやすそうですね。

 

あの伝統工芸品の端材も素材に

●HAKATA MAGEMONO 440円(税込)~

こちらは、博多を代表する伝統工芸品「博多曲物」を作る過程で出た杉の端材です。

表面に小さな傷やヒビがあるものは商品として販売できず、これまで廃棄されてきました。

高級百貨店などでも取り扱われている博多曲物。その廃材を販売することについて睦さんは「迷いもあった」と話します。

睦さん「伝統工芸品のいわゆるB級品を売ってもいいのかなって。それでも、新しいモノに生まれ変わって欲しいという願いを込めて、あくまでも素材として販売することに決めました」

トレーやケースとして購入するお客さんが多く、底のないものについては加工してインテリアやバードハウスに作り替えることができるそうです。

 

オリジナル雑貨やインテリアグッズを作ろう!

「土曜日のMATERIAL MARKET」さん、実は、買い物だけじゃないんです。お店のレジカウンターの奥が工作スペースとなっていて、購入した商品で工作を楽しむことができます。

さまざまな工具も用意されているので、子どもから大人まで、思い浮かんだ浮かんだアイディアをすぐに形にできますよ!

それぞれの素材が持つストーリーに耳を傾けながら、世界に1つだけのオリジナル雑貨やインテリアグッズを作ってみてはいかがでしょうか。

INFORMATION

店名:

土曜日のMATERIAL MARKET(マテリアルマーケット)

住所:

福岡県福岡市西区1078-41

電話番号:

なし ※問い合わせはお店の公式インスタグラムにて

営業時間:

10:00~17:00

定休日:

日〜金

一人当たりの予算:

〜¥1,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

 

 

WRITTEN BY
中山 さおり

中山 さおり

公認ライター

連載賞 2023

連載賞 2023

2023年にメディア上にて、連載記事を担当したライターに贈られる賞です。

放送局の記者を経て、現在はライターとして活動中。東北生まれ、東北育ち。2022年、東北を飛び出し九州・福岡へ。料理とサッカー観戦(主にJリーグ)をこよなく愛する。休日や天気のよい日には、愛車で糸島をドライブし、美しい風景やグルメを開拓中。