【西区・太郎丸】九大そばにある火事でも残った太郎丸神社“落ちない鈴” 合格お守りも

【西区・太郎丸】九大そばにある火事でも残った太郎丸神社“落ちない鈴” 合格お守りも

福岡市西区太郎丸の太郎丸(たろうまる)神社は2016年2月、不審火で全焼しました。ところが、黒焦げになった拝殿の梁(はり)には、赤く焼けた鈴が、そのままぶら下がっていました。

神社は氏子さんの寄付金などで2017年10月に再建され、磨いて輝きを取り戻した鈴も再びかけられました。神社は九州大の伊都キャンパスに近く、「落ちない鈴」と受験生や家族の間で評判となり、合格祈願のお守りも授与しています。
地元のみなさんに守られている神社を訪ねました。

毎月第1、3日曜午後1-2時にお守り、御朱印、絵馬、御札などを授与。毎週土曜に氏子さんたちが鈴を磨いてピカピカに!

国道202号の周船寺西交差点から北へ向かう

太郎丸神社に車で行く場合、福岡市中心部方面から国道202号の周船寺西交差点を右折し福岡県道566号線に入ります。北へ1.5キロほど行くと左手に太郎丸神社の看板が見えてくるのでその角を左折します。

角を曲がるとすぐに神社に到着します。10台分ほどの駐車場もあります。

 

氏子さんたちが守る神社と鈴

私が訪ねたのは、2024年5月18日の土曜日でした。毎週土曜午前8時半ごろから、地元の神社総代や協力委員のみなさんが、鈴を磨いたり、境内の掃除をしたりしています。8時すぎに着きましたが、既に住民のみなさんが集まり始めていました。

長く親しまれている地域の神社といった雰囲気です。

この日は6人のみなさんが集まりました。“若手”という冨永浩志さん(64)が脚立に登って、磨き粉をつけた布で鈴を丁寧に磨きます。

「鏡みたいに顔が映ります。金色になったら気持ちがいいですね」と話してくれました。

 

不審火で全焼、そして再建

神社の発祥ははっきりしないそうです。しかし古くからあるのは間違いありません。昔は十六天神社という名でしたが、1871(明治4)年に太郎丸神社と改称されました。

ところが、地元のよりどころである神社の本殿と拝殿が2016年2月2日夜、全焼してしまいます。火災の原因は放火とみられています。拝殿に当時の写真が張ってあります。

現在は協力委員で当時、神社再建委員会の副委員長だった冨永一規さん(76)が、落ちずに焼け残った鈴の写真を見せてくれました。

火災保険や氏子、住民の寄付金などで再建費用約4800万円を賄い、2017年10月に完成を祝う式典とご神体を移す遷座祭が催されました。

新しい社殿は総ひのき造りで防犯カメラも設置しています。こちらが再建直後の写真です。落ちずに残った鈴は、新しい拝殿に再びかけられました。

神社の由緒や再建の経緯を説明する石碑もあります。

 

受験生の間で評判に。お守りをつくる

火災に遭いながらも焼け落ちなかった鈴を「落ちない鈴」として紹介する看板を近くの道路沿いに立てたところ「入学試験に落ちずに合格できる」と受験生の間で評判となりました。九州大の伊都キャンパスが、神社からも見える近さにあることも人気に拍車をかけ、参拝客が激増しました。

「御利益を手にしたい」という受験生の声に応え、一規さんたちが「“落ちない鈴”お守り」を200個つくり、2019年の元日に初めて授与すると、即日、全てはけたそうです。

現在は毎月第1、3日曜の午後1-2時に神社でお守りなどを授与しています。お守り(1,000円)、御朱印(500円)、絵馬(500円)です。

外にはいつでも手に入るお札(300円)、願い事を書く願い石(100円)もあります。

神社総代長の冨永豊さん(68)が「お札は、境内にある鈴のモニュメントの穴を通すと願いがかないます」と教えてくれました。

写真のようにやるそうです。

モニュメントの穴を通して、山手にある九州大の伊都キャンパスを望むこともできます。

ちなみにモニュメントは再建当時、小学6年だった子がデザインしたそうで、ものさし、鉛筆、本をあしらっています。

 

新たな取り組みも。これからも親しまれる神社で

2020年からは、九州大の学生が鈴磨きを手伝うようになりました。鈴磨きの際に着るTシャツを学生さんがデザインするなど交流を深めました。彼らは今春卒業し、大学院に進んだり就職しました。

一規さんは今年2月、初めて九州大学の入学試験の日に神社に行ってみたそうです。初日は午前8時半からいたところ、受験が終わるのを待っている保護者さんなど約20人が訪れたとのこと。「鹿児島県薩摩川内市や沖縄県の石垣島、和歌山県など全国各地の人がいて、びっくりしました」と話します。

今年は協力委員の木村千亜希さんのアイデアで、境内にクリスマスローズを栽培したそうです。「花の『がく』が落ちないこと、『がく』が5枚あるので『合格(5がく)』に通じることで、縁起がいいかなと思いました」とほほ笑みます。ちょうど受験シーズンの2-3月ごろに花が咲きました。拝殿にはクリスマスローズの絵も飾られていました。

一規さんは「クリスマスローズの柄の御朱印もつくる予定です」と話します。受験生に頼られ、九大生と交流を深め、地域おこしの舞台にもなっている太郎丸神社。これからも多くの人たちに親しまれることでしょう。

INFORMATION

店名:

太郎丸(たろうまる)神社

住所:

福岡市西区太郎丸2-7-10

営業時間:

第1、3日曜午後1-2時に「落ちない鈴」お守り、御朱印、絵馬など授与

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

 
WRITTEN BY
のんちゃん

のんちゃん

現役ライター

ライター歴27年の50代男性。フルマラソン出場15回(うち福岡マラソン4回)。ソフトボールも趣味で、おじさんチームの監督をしている。糸島の野菜や魚介類の直売所や、海鮮丼などが食べられる飲食店が大好き。糸島半島の古墳や遺跡、神社にも興味がある。