万葉集の歌碑や桜、神社があり、山と海が見える志摩・船越の「万葉の里公園」で、悠久の時の流れに思いを馳せよう!

万葉集の歌碑や桜、神社があり、山と海が見える志摩・船越の「万葉の里公園」で、悠久の時の流れに思いを馳せよう!

「万葉集」といえば、日本最古の歌集として有名ですよね。

実は糸島には、「万葉の里公園」と呼ばれる公園があります。
「万葉の里」という以上は、万葉集にまつわる何かが遺されているのではないでしょうか?

それとも、7、8世紀の日本を彷彿とさせるような景色があり、「万葉の心を養う」という意味がこの公園の名前に込められているのでしょうか。

筆者とともにこの公園を探検し、その謎を解いてみましょう!

花を愛で、山を仰ぎ、海を眺める。古代日本の面影を残す「万葉(まんよう)の里公園」

アクセス

糸島観光サイト「つなぐ糸島」さんによると、こちらの公園は筑前前原駅(JR筑肥線)北口からバス(船越線)に乗り、「船越」のバス停で下車して6分歩いたところにあるそうです。

バスの本数が少ないそうなので、バスで公園を訪れる際には事前に確認されることをオススメします。

筆者の場合は、付近の船越(ふなこし)漁港まで車で移動し、船越漁港から徒歩10分ほどで公園に辿り着きました。

 

公園に接近

引津(ひきつ)湾の海岸線に沿って歩いていると、遠くの方に1ヶ所だけ、桜が集まっている場所がありました。

何だろうと思いながら歩いていくと、どうやらそこは公園のようでした。

途中から「もしかして。」という思いはありましたが、間近に接近してみると、やはりここが「万葉の里公園」でした!

看板の色合いが、公園の風景によく合っています。

 

咲き乱れる桜たち

筆者がこちらの公園を訪れたのは、3月の終わりごろ。

ちょうど桜がほぼ満開の時期だったので、思わず見とれてしまいました♪

木の下から見上げてみると、かなり立派な桜の木が多いことがわかりました。

桜の木々の間にひっそりと神社の鳥居が立っています。

この「ひっそり」としているのが、何となく風情があって良いですね。

 

公園内には歌を刻んだ石がある

今から約1300年前、阿部継麻呂(あべのつぐまろ)を大使とする遣新羅使の一行が、新羅に向かう旅の途中で万葉の里公園付近(当時は引津の亭)に立ち寄り、旅の心情を7首の歌にしたそうです。

こちらの公園の中には、歌を刻んだ石である「歌碑」が2基あるとのこと。

まず1つ目が、こちら。

「あづさ弓 引津の辺なる なのりその花 花摘むまでに 逢わざらめやも なのりその花」

「なのりそ」とは海藻の一種であり、さらに歌によく使われる掛詞(かけことば)なのだそう。

興味のある人はぜひ、その意味も調べてみてくださいね。

もう1つ、先ほどの石に比べて縦に長い石もありました。

こちらにも、歌が刻まれています。

「草枕 旅を苦しみ 恋ひ居れば 可也の山辺に さ男鹿鳴くも」

実はこの公園から、「糸島のシンボル」可也山が見えるんです。

男鹿の鳴き声は聞こえませんでしたが、かつてこの辺りに停泊していた遣新羅使の一行が、この場所で同じように可也山を眺めていたと思うと、心が震えました。

奈良時代の人びとが見ていた可也山を、令和の時代を生きている自分が見る。

そう考えると、可也山はすごく長い時間を生きているのですね。

可也山の目には、私たち人間の営みはどんな風に見えているのでしょう。

 

ベンチでひと休みして、海へ

しばらく歌碑の前にたたずみ万葉の風に吹かれていると、にわかに疲れを覚えたので、公園の中にあったベンチでひと休み。

ベンチに座って周囲を眺めると、桜はもちろん、可也山、海と色々なものが目に入ってきました。

そのうち疲れも取れてきたので、立ち上がり海の近くまで行ってみることに。

こちらの万葉の里公園では、万葉集に出てくる植物を色々と植えているようです。

満開の桜にばかり気を取られていましたが、よく見るとその隣に松の木もありました。

その他にも、多種多様な植物があり、地域の人びとによると今後もさらに植えていく計画があるそうです。

公園の端にある木陰から望んだ引津湾の眺めは、実に素晴らしいものでした。

 

綿積神社

万葉の里公園と同じ敷地内に、綿積(わたつみ)神社という神社がありました。

こちらの神社には、豊玉彦(とよたまひこ)命、鵜茅葺不合(うがやふきあえず)命、豊玉姫(とよたまひめ)命が祀られており、牛馬安全の神として各地の人びとからの信仰が厚いとのこと。

綿積神社の別名は「龍王宮」。

綿積神社の境内には、他に三柱神社(みはしらじんじゃ)と疫神社(やくじんじゃ)、庚神(猿田彦命)があります。

それぞれの神社に参拝してきました。

こちらが三柱神社。

疫神社がこちら。病気平癒、厄災祓いの神様として敬われているようです。

こちらは、庚神が祀られた庚申天(こうしんてん)です。庚申は道の神なのだそう。

同じ敷地内にこんなにも多種多様な神様が祀られていることに、驚きました。

八百万の神がいる日本ならではの光景ですね。

 

1度は訪れたい、糸島の隠れた名所!

万葉の里公園は、万葉集の歌が刻まれた歌碑があるだけでなく、海を眺めたり色々な神社にお参りしたり、春には桜の花見もできる、魅力が盛りだくさんの公園です。

万葉集にまつわる植物が植えられていることや、歌碑があること、可也山や引津湾が見えることなど、すべてのものが組み合わさって「万葉の里」を形成しているのだとわかりました。

歴史が好きな人も、そうでない人も、この公園に来たら心と体に新たな風が吹き込まれることでしょう。

ぜひ訪れて、悠久の時の流れに思いを馳せてみてください。

INFORMATION

店名:

万葉(まんよう)の里公園

住所:

福岡県糸島市志摩船越169

電話番号:

092-332-2093

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
おぬま

おぬま

歌って踊る学生ライター

九州大学文学部の3年生。興味を持ったことは、とことん深めるタイプ。 今ハマっているのは、筋トレと瞑想と踊り。 YouTubeチャンネル「おぬまのダンスパラダイス♬」やブログ「おぬまの糸島探検記」を運営。 日本語検定1級、漢字検定準1級。