雄大な自然と知られざる歴史を求めて、糸島・二丈にある「千寿院の滝」へ
糸島の南の山の奥に、「千寿院の滝」という滝があります。
「白糸の滝」に比べるとマイナーな滝ですが、白糸の滝に劣らず雄々しい滝がそこにはあると聞きました。
その千寿院の滝の近くには、「唐原(とうばる)」という場所があり、そこには哀しく儚い伝説があるのだとか。
糸島の雄大な自然と歴史を抱きしめる旅に、いざ出発しましょう。
目次
山また山のその先にある、美しい海と島の景色と哀しい物語、そして雄大な「千寿院(せんじゅいん)の滝」
アクセス
「千寿院(せんじゅいん)の滝」は、西九州道路の前原ICから車で26分のところにあります。
山の中にあり、途中の道路には道幅が車1台分しかない場所もあるので、車で行かれる際には十分な注意が必要です。
ちなみに筆者は自転車で行き、上り坂が急なところは歩いて上りました。そのように自転車と徒歩を併用した場合は、前原ICからだと約2時間かかります。
麓を目がけて
それでは筆者とともに、千寿院の滝を目指して冒険の旅に出かけましょう!
この日は特に天気が良く、雲一つ見当たらないほどの快晴でした。
まずは山の麓を目がけて、グングン走っていきます。
山中に入る
山の麓に到着しました。さっそく中に入って行きます。
山中は草木が生い茂っており、とても気持ちが良かったです♪
この日のように暑いときには、山の中は格好の避暑地ですね!
道はかなり狭い
山の中の道についてですが、かなり狭いです。
車2台がすれ違うスペースはないので、片方の車がどうにか避けて対向車に道を譲るしかありません。
下の写真のような場所で対向車が来たら、絶望的ですね(笑)。
このような場所では、車がやって来ないことを祈るしかありません。
その点、筆者のように自転車で行けば、時間と体力を消費するものの、道の向こうから車が来てもあまり気にせずに済みます。
ヤギに出会う
山道を進んでいると、左側に広い草地が見えてきます。
中を見ると、2頭のヤギがいました。
ドッグファイトのような体勢で向かい合う2頭。しかしドッグファイトというには、あまりにも表情が穏やかすぎますね(笑)。
麓の世界とはまるで別天地であるかのように、ここには非常にゆっくりとした時間が流れていました。
見渡す限り快晴の青空に、雄大な山容。
広い草原にいる穏やかなヤギたちの姿に癒された筆者は、再び山道を上る元気を取り戻しました。
唐原まであと少し
さらに山道を上っていくと、「唐原(とうばる)まであと1キロ」という看板が見えました。
唐原は、千寿院の滝のすぐ近くにあります。つまり、あと少し行けば滝があるということです。
「もう少しだ、頑張るぞー!」
炎天下で疲れた身体を励ましながら、筆者は進み続けました。
しばらく行くと、カーブミラーが見えてきました。
このカーブを曲がった先には、いったい何があるのでしょう。
「おおー、綺麗だ!」
カーブを曲がった先には何と、棚田がありました。それも綺麗なんですが、さらに素晴らしいのが、棚田の向こうに見える景色。
写真だと少し見えにくいですが、現地で実際に見るとハッとするぐらい鮮やかな海と、島が見えます。
ここまで山ばかり見ながら上ってきたので、急に海と島が見えたときは驚きました。
ぜひ皆さん自身の目で直接、その美しさをお確かめください!
唐原に伝わる物語
さて、棚田の向こうに広がる景色を楽しんで、その余韻に浸っている間に唐原に着いてしまいました。
この唐原という地には、平安時代末期の源平の争乱で、各地に落ちのびていった平家の落人の一部が隠れ住んでいたようです。
現地にあった文書によると、平清盛の息子である平重盛(しげもり)の内室と、千姫、福姫という2人の姫たちが、数少ない家来たちとともにこの地に落ちてきたそうです。
筆者が先ほど楽しんだ、棚田の向こうに見える海と島の景色。
それを幼い姫たちも同じように眺めながら、いつの日か都に帰る日を待ち望んでいたそうです。
しかし、姫たちが都に帰ることはなく、源氏方より差し向けられた刺客によって無残にも殺害されてしまいます。
美しい山と海の自然の中には、哀しく儚い物語がありました。
千姫、福姫が水遊びをしたという「千寿院の滝」は、この先にあるようです。
哀しい過去を知ってしまったので、滝に向かう足が少し鈍ってしまいました。前を見ると、そこには薄暗い森が広がっています。
「なんか怖い…。」
しかしここまで来たからには、先に進むしかないでしょう。
薬師堂を通る
森、というより山道に入るとすぐに「薬師堂」の横を通りました。
堂の中にある薬師如来像は、奈良時代に建立されたであろうと言われています。
今日でも唐原の人びとによって大切に護られているそうです。
千寿院の滝へ
千寿院の滝の入り口に到着。
入り口に着くまでは滝の水音が轟々(ごうごう)と鳴っていたのに、入り口に着くと急に静かになりました。
この先「車は乗り入れ禁止」とのことなので、自転車を入り口に停めて歩くことにしました。
しばらく歩いていくと、岩の間を流れ落ちる小さな滝が見えました。
中々に神秘的ですね。
もう少し、先がありそうなので歩いてみましょう。
到着するが、滝が小さい…
さらに行くと、まるで露天風呂のような場所がありました。
奥の方でこんこんと流れ出る滝は、思っていたよりも小さな滝でした。
それはそれで、小さく儚い印象があって良かったのですが、心のうちに湧いてきたのは「え、これだけ?」という疑念。
水音から察するにもっと大きな滝がありそうなのですが…。この先に行く方法が見当たりません。
大きな滝を探し回る
いったん滝の入り口まで戻り、どこかに分岐点があったのではないかと探してみましたが、ありませんでした。
その後10分ほど、さらに奥にあるはずの大きな滝に辿り着く道を探して、筆者は歩き続けます。
ようやく、先ほどの「露天風呂のような場所」で、岩と水流の上を渡って行けば奥に行けることを発見。
水を渡った先には、「千寿院の滝はこちら」という看板が。
渡れば見えるんですが、渡らないと見えないので少しわかりにくいですね。
看板が指す方に向かって歩いていきます。
するとどうでしょう。さっき見た小さな滝とは比べ物にならないほど雄大な滝が、激しい水音をとどろかせているではありませんか!
滝の音がすごすぎて、ずっと滝のそばにいると耳が変になりそうですが、自分の中にある悩みや苦しみ、欲望などがすべて流されていくような清々しい気分にもなります。
滝よさらば
1時間近く滞在したあと、ようやく滝に背を向け、その場を去りました。
自転車を止めた入り口まで行くと、ふとその先に綺麗な景色が見えたので、行ってみることに。
すると、唐原に着く前に棚田の近くで見たのと同じような、美しくもどこか儚い、海と島の景色がそこにはありました。
INFORMATION
店名:
千寿院の滝
住所:
福岡県糸島市二丈満吉
電話番号:
092-322-2098(糸島市観光協会)
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。