店主こだわりの生活雑貨たち。糸島・二丈深江の「MARKT SCHOLĒ」で、美しい手仕事に思いを馳せる

店主こだわりの生活雑貨たち。糸島・二丈深江の「MARKT SCHOLĒ」で、美しい手仕事に思いを馳せる

個性溢れるセレクトショップが揃う糸島。
今回紹介するのは、2023年4月にオープンした「MARKT SCHOLĒ(マルクトスコレー)」さんです。

やきものや工芸品を愛する女性が営むこのお店。
商品を販売するだけでなく、それぞれの歴史や作り手の思いを訪れた人に伝えています。

落ち着いた店内で、オーナーに色々質問しながらゆっくりと生活雑貨選びを楽しもう

オンラインショップから実店舗をオープン

西九州自動車道・前原ICを降りて車で6分。

上深江交差点を二丈中学校方向に進むと、左側に長方形の建物が見えます。「MARKT SCHOLĒ(マルクトスコレー)」さんは、この建物の1階で営業しています。

白い立て看板が目印。駐車場は、2番と3番がお店専用のスペースになっています。

落ち着いた雰囲気の店内には、小鹿田焼に有田焼、博多曲物などやきものをはじめとした生活雑貨が並んでいます。

販売されているのはどれも手仕事の繊細さや温かみを感じられるものばかりです。

もともとオンラインショップとして始まったMARKT SCHOLĒさんですが、2023年4月に念願の実店舗をオープンしました。

 

やきものや工芸品について学べる、手仕事の学校

お店を営むのは、神奈川県出身の原純子(はら じゅんこ)さん。

取り扱っている商品は、九州を中心に原さんが直接作り手のもとを訪れて選んだものがメインとなっています。

やきものや工芸品に対し深い愛情を持っていて、知識も多い原さん。どの商品について質問しても分かりやすく答えてくれます。

例えばお店で特に取り扱いが多い、小鹿田焼(おんたやき)。

その見た目は福岡の伝統工芸・小石原焼(こいしわらやき)にとてもよく似ています。

それもそのはず。原さんによると小鹿田焼は小石原焼から派生したやきもので、いわゆる兄弟。

「飛び鉋」や「刷毛目」など小石原焼の伝統的な技法を引き継ぎ、今も手作業で器を作り続けているそうです。

「大分県日田市の山間に数件の窯元があり、その技術は一子相伝と決まっています。登り窯を使うなど、昔ながらのやり方を大切にしているんです。」

商品が生まれた土地を歩き、作り手の話に耳を傾ける。そうして知った歴史や込められた思いを、原さんは多くの人に知ってもらいたいと話します。

店名も、ドイツ語でマーケットを意味する「マルクト」と、スクール(学校)の語源となったギリシャ語「スコレー」を組み合わせて「マルクトスコレー」。

また「スコレー」という言葉には、ギリシャ哲学の形成に寄与した「時間的なゆとり」という意味があり、お店でさまざま思考する時間を楽しんで欲しいという願いも込められています。

 

おすすめ①使いやすく、表情豊かな小鹿田焼

販売されている商品すべてが原さんのおすすめ。なかでも、今特に知ってもらいたいものを3つピックアップしてもらいました。

まずは先ほど紹介してもらった小鹿田焼から。

●小鹿田焼 6寸皿 2,400円(税込)

幅広い種類があるなかで、1番使い勝手がいいのは約18cm6寸皿。手前か飛び鉋、奥が刷毛目とどちらも伝統的な模様がほどこされています。

素朴なデザインで食卓に馴染みやすく、丈夫で長年付き合うことができる器です。安すぎず高すぎない値段もうれしい。

小鹿田焼は伝統的な模様以外にも、窯元や時期によってさまざまなデザインが作られています。お店を訪れるごとに新たな出会いがありそうですね。

 

おすすめ②繊細で美しい、青の器

●堆線輪花小鉢 2,200円(税込)

続いてのおすすめは、さわやかな青と花のような形がかわいらしいこちらの小鉢。八女市の風見窯という窯元で作られています。

見た目の美しさに加えて、内側の線は1本1本丁寧に手で引いたものとのこと。実際に手に取ってみると、その緻密さに驚かされます。

風見窯は、熊本の小代焼で修業を積んだ男性が開窯。

八女の地で2年をかけて器に使う土を探し求め、さらにこの美しい青を表現するために釉薬の配合を1,000以上試し、現在の形にたどり着いたそうです。

小鉢のほかにも、小皿やマグカップなど生活に取り入れやすい食器がラインナップされています。職人のもの作りにかける情熱が感じられる素敵な商品です。

 

おすすめ③レトロな魅力が詰まった琉球ガラス

3つ目は、「白鴉再生硝子器製作所」という琉球ガラスの工房が手掛ける蕎麦猪口です。

●琉球ガラス 蕎麦猪口 2,800円(税込)

ぽってりとしたフォルムに、懐かしさを感じる色合い。ガラスの中に閉じ込められた泡が、日の光に反射してきらきらと輝きます。

同じガラスで作られた片口もあり、原さんのお気に入りは組み合わせてそうめんのつゆを入れる使い方。見た目も涼しいので夏のギフトにもぴったりです。

沖縄土産として人気の高い琉球ガラス。その始まりは、終戦後に米軍の持ち込んだコーラのビンを再利用したことだと言われています。

琉球ガラスの特徴的なレトロな色は、窓ガラスや泡盛、焼酎のビンをリサイクルしているから。沖縄の風土を感じることができ、その歴史にも心惹かれます。

 

暮らしの相棒が欲しいと思ったら

お店で買い物をすると商品の説明カードをもらうことができます。こちらはすべて原さんの手作り。

「皆さんが日々使うものにこだわりを持って、その魅力について学ぶきっかけを作りたいんです。」と原さん。

MARKT SCHOLĒさんを訪れることで、毎日手にするものの見方や選び方が変わるかもしれません。

お店で取り扱っている商品は、オンラインショップでも販売しています。気になる方は、ぜひそちらも覗いてみてください。

INFORMATION

店名:

MARKT SCHOLĒ(マルクトスコレー)

住所:

福岡県糸島市二丈深江1456-1

電話番号:

なし(問い合わせはインスタグラムのDMにて)

営業時間:

[日〜火]12:00~18:00

定休日:

水〜土

一人当たりの予算:

¥1,500~

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

 

WRITTEN BY
中山 さおり

中山 さおり

公認ライター

連載賞 2023

連載賞 2023

2023年にメディア上にて、連載記事を担当したライターに贈られる賞です。

放送局の記者を経て、現在はライターとして活動中。東北生まれ、東北育ち。2022年、東北を飛び出し九州・福岡へ。料理とサッカー観戦(主にJリーグ)をこよなく愛する。休日や天気のよい日には、愛車で糸島をドライブし、美しい風景やグルメを開拓中。