meets vol.3|GOOD DAILY HUNT 代表 林 博之

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meets糸島編集部
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  1. meets vol.3|GOOD DAILY HUNT 代表 林 博之
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糸島で活躍するクリエイターや事業者など、町にとってポジティブな影響を与える人へのインタビュー企画です。

心ある人の考えや取り組みを発信することで、糸島を今よりもさらに好きになってもらうことを目的としてお話をうかがっていきます。

第3回目は、アウトドアショップ「GOOD DAILY HUNT(グッド デイリー ハント)」を営む林博之(はやし ひろゆき)さんにインタビュー。
関東から移住された経験や、意欲的に取り組む山の環境問題などについてお話していただきました。

meets vol.3|GOOD DAILY HUNT 代表 林 博之

林 博之(はやし ひろゆき)さん

今回、インタビューに答えてくれたゲスト

林 博之(はやし ひろゆき)さん

1974年、千葉県生まれ。学生時代から日本中を旅して回る。
東京都のアウトドア系輸入商社「エイアンドエフ」で15年間営業などとして働いた後、独立。
2012年、糸島に移住。
2016年、アウトドアショップ「GOOD DAILY HUNT(グッド デイリー ハント)」をオープン。
翌年、仲間とともにイベント「THINNING(シニング)」をスタートさせる。山林の問題をより多くの人に知ってもらおうと、糸島を中心に全国各地で活動中。

1974年、千葉県生まれ。学生時代から日本中を旅して回る。
東京都のアウトドア系輸入商社「エイアンドエフ」で15年間営業などとして働いた後、独立。
2012年、糸島に移住。
2016年、アウトドアショップ「GOOD DAILY HUNT(グッド デイリー ハント)」をオープン。
翌年、仲間とともにイベント「THINNING(シニング)」をスタートさせる。山林の問題をより多くの人に知ってもらおうと、糸島を中心に全国各地で活動中。

――アウトドアに興味を持ったきっかけを教えてください。

中学生の時、映画「スタンドバイミー」がきっかけでキャンプにハマりました。

映画では子どもたちだけで野宿しながら旅をするんですが、それに憧れて仲間と公園に集まって、焚火と夜釣りをしながら恋バナにふけって。

それが僕のアウトドアの原点です。

高校3年生の時には、初めて一人で北海道へ行きました。

そしたら、旅やアウトドアが楽しすぎてその世界から抜けられなくなってしまいました。専門学校に行ってからは、四国を一周したり北海道へ1か月行ったり。

バイトしてお金を貯めて、それをドーンと使って旅をするというサイクルを繰り返していました。

――これまでで一番印象に残っているのはどんな旅ですか?

専門学校を卒業した翌年、当時フリーターだった僕は、周りがどんどん就職していくなかで将来に不安がありました。

だから、一旦区切りをつけるための旅をしようと決意したんです。

車も電車も使わない、歩くだけの旅。もちろんすべて野宿です。北海道の最北端・宗谷岬から九州の最南端・佐多岬までの約3,200キロを5か月間かけて歩き続けました。

――5か月間も!辛くはありませんでしたか?

5か月間、毎日が自由。そんなハッピーな日々ないですよ!

東北で気心の知れたバーに1週間居座ったり、知らないおじさんと仲良くなって温泉に連れて行ってもらったり。

北海道では歩き過ぎて腱鞘炎になったところをレストランの人に助けられて、そこでウエイトレスとして働きながら泊めてもらうとか。

あの旅がこれまで生きてきたなかで一番楽しい旅でしたね。

――区切りの旅を終えて、「エイアンドエフ」に就職したんですね。

旅の経験を活かした仕事をしたいと考えた時に、アウトドア道具を扱うお店で好きなものに囲まれて働くのが楽しいんじゃないのかなと思って。

直営店に直接行って交渉したら、翌日には新宿の本社に呼ばれました。面接ではバックパッカーの話をすごく喜んでもらえて、「明日からこい!」って。あっという間に決まっちゃいました。

はじめの4年間は販売員として、その後、11年間営業部で働きました。

――独立しようと考えたのはなぜですか?

エイアンドエフで働いて15年目の2011年、東日本大震災が発生しました。

あの日、僕は新宿の本社にいて、倒れそうな棚をみんなで押さえていました。大きなモニターに映った東北の津波の映像が衝撃的で、心に残りました。

震災で命と直面して「やりたいことがあるのにやらなかったらアホでしかない」と思うようになりました。だったらこのタイミングで自分が本当に何をしたいんだろうって。

ちょうど独立したいと考えていたので、思い切って会社を辞めました。

 

国土の広いアメリカでは、州ごとに営業を代行する人たちがいるんです。複数のブランドを請け負って商売して、オーダーを取るっていうやり方。

日本でもその仕組みが増えてきていて、特に北海道と九州にはフリーランスでやっている人がたくさんいます。

1年かけていろいろなブランドの社長を訪問し、「九州エリアを任せてくれませんか?」ってお願いしました。その結果10ブランドと契約。

震災から1年後の2012年3月、ようやく糸島に移住できました。

――糸島のどんなところに惹かれたんですか?

遊べる環境が近いところと、九州の中心地・福岡市内にも近いところです。

会社員時代は、我孫子から新宿まで超満員電車を片道1時間半かけて通勤していました。当時はそれが当たり前だったけれど、今考えるとおそろしいですよね。

糸島から天神までなんて、へたしたら自転車で行きますよ!(笑)

アクセスが良くて子どもも育てやすい、駄目なところが見つけられなかった。こんな完璧な土地、日本中どこを探してもありません。

――アウトドアショップを始めた経緯を教えてください。

糸島に来てしばらくは、卸売業だけやっていました。

だんだんサンプルの置き場所が必要になってきて、それで今の店舗を事務所として借りました。最初はお客さんを入れるつもりなんてまったくなかったんですよ。

ショールームとしてやっているうちに、仲間や見に来た人から「ここで買えないの?」という声があがるようになって、それで店を開こうとを決めました。

店名「GOOD DAILY HUNT(グッド デイリー ハント)」の意味ですが、震災を受けて当たり前の生活がどれほど大切か気付かされました。

DAILY=「日常」がすでにGOOD。さらに、おしゃれやスポーツなど好きなものにお金を投じたいという気持ちもあります。いい日常を積極的に捕まえにいく動作も忘れたくない。

そんな思いを込めてHUNTをつけました。

――素敵な名前ですね!扱うブランドや商品を選ぶ際、重視しているのはどんなことですか?

値段や見た目だけでなく、機能性や取組み、いわゆるバックボーンがあるかないかですね。

その語るべきことを僕が気持ちよく喋れるかどうか。本当に共感して「このブランドマジいいじゃん!」って思わないと接客の熱に出ますから。

はじめのうちはいいと思ったブランド全部、だいたい20ブランドくらい背負っていましたが、一人で動いていると結局営業しきれない。

気に入っていない商品はぜんぜん語れないし、メーカーやお客さんに対して次第に罪悪感が湧いてきます。やっていても楽しくないし、数字も作れない。

結局、始めて2年ぐらいで半分の契約をやめたんです。そこからすごくよくなりました。

――糸島で、山の問題にも取り組んでらっしゃると聞きました。

アウトドア業界は健全な自然がないとそこで遊べないし、商売自体が成り立たちません。モノを売るだけではなく、山や海、川を守る活動に一緒に取り組まないといけないのが前提の世界です。

日本人は特に地元愛が強い。それに震災後、不安を抱えながら移住してきた自分たちを受け入れてくれた土地に、恩返ししたいという思いがずっとありました。

そんな時に、知り合いから山の問題をいろいろ聞いたんです。

案外、住んでいる人たちはそれに気付けていない。みんな遠くから見て山がきれいとか、中を歩いて気持ちいいとか言っているけれど、実はその山に問題があることを知りません。

福岡県にも「森林環境税」という税金がちゃんとあって、行政がその税金を使って業者に依頼し、山林を整備しています。

密集した山林で、一部の木を伐採することを間伐(かんばつ)といいます。間伐によって下草が生え、木がしっかり根を張って山が水を蓄積できるようになります。地崩れを防ぐんですね。

整備されていない山は、土砂災害が起こりやすくなるんです。

自分たちの暮らしを守るために、なぜ山の整備が必要なのか、まずはその知識をつける場所が必要だと考えました。

それで、仲間と一緒に「THINNING(シニング)」を始めました。

――どのような活動に取り組んでいるのでしょうか?

THINNINGは、山の問題をより多くの人に知ってもらうためのイベントです。マーケットですね。

堅苦しいものではなく、中心には「楽しい」があって、その楽しいに吸い寄せられるようにみんなが集まった時に、僕らが山の問題について発信したり、チラシを渡したり。

響く人には響くし、響かない人は「楽しかったね」で終わりです。

でも、いろんな仕事の人がいてそれぞれにできることが違うから、一部で「うちの会社だったらこれできるな」っていう動きが実際に起こり始めているんです。

活動を続ければ少なからずいい方向に向かうということ、そして子どもを持つ親として、自然をこれからの世代に残していきたい。そこが一番重要なところですね。

――実際に移住して感じた糸島のよさを教えてください。

暮らしという部分では、豊かでしかありません。

暮らしの中心は食なんですよ。例えばスーパーでは、値段じゃなく「○○さんのキュウリいいね」みたいに生産者で選んで買うことができるのが究極にいい。

仕事についてはなんでもいいんですよ。でも、それが一番難しい。

人口からして集まるお金も少ないから、経済はそんなに大きくありません。それでもうまく生活すれば、家賃も安いし食費もかからないのでランニングコストは下がります。

移住したいと考えている人それぞれ、背負っているものが違うから、何も正解はないと思います。

「どういう状況だったらうまくいきます」っていうのを聞きすぎると、まるでその駒が揃わないと移住しちゃいけないみたいなマインドになってくるから、そうじゃないよねって。

行きたいか、行きたくないか。自分の力を信じるしかありません。

まずは旅行などでその土地にふれる機会を作ってみること。

パソコンやスマホから入ってくる情報を鵜呑みにしないで、その土地が本当に合うかどうか自分の肌で感じてみることが大切だと思います。

――今後、糸島はどう変わっていくと良いでしょうか?

良くあり続けるために、これ以上変わらないでいて欲しいと思います。

経済的な側面が見えすぎてくると、ビジネスのための環境利用が増えてきます。地価もどんどんあがっていて、テナントも高い。不動産が盛り上がりすぎていると感じます。

そもそも自然が一番の武器である場所だったのに、目先のお金を取りにいくがゆえに商売に傾きすぎると、何年後かに痛い目にあうのかなって気はしています。

もし変わらなければならないのであれば、これから商売をする人たちに積極的に僕らが関わっていかなければいけません。

ビーチクリーンや排水問題など環境問題について言うべきことを言って、一緒にやっていかないと。この先、糸島はすごく試されていると思います。

 

INFORMATION

店名:

GOOD DAILY HUNT

住所:

糸島市前原西1-7-20 2F

電話番号:

092-332-8994

営業時間:

12:00~17:00

定休日:

月曜日、日曜日

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。