meets vol.7|株式会社 TANNAL 代表 磯本浩英
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meets vol.7|株式会社 TANNAL 代表 磯本浩英
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糸島で活躍するクリエイターや事業者など、町にとってポジティブな影響を与える人へのインタビュー企画です。
心ある人の考えや取り組みを発信することで、糸島を今よりもさらに好きになってもらうことを目的としてお話を伺っています。
第7回目となる今回は、天神と糸島で「いちごや cafe TANNAL」を運営し、自らも生産者として働く「磯本浩英(いそもと ひろひで)」さんにインタビュー。
仕事に対する取り組み方や、今後の展望などについてたっぷりと語ってもらいました。
meets vol.7|株式会社 TANNAL 代表 磯本浩英
磯本さんの事業について
———糸島で取り組んでいることを簡単にお聞かせください。
イチゴを作っています!…というのは冗談です(笑)。
僕は、所有する農園でイチゴ(あまおう)を作って、直営店のカフェでいちごを使ったパフェなどを提供しています。
あと、去年(2022年)は直営店3号店であるソフトクリームの店もオープンさせました。
磯本さんの公式サイトでは、直営店である「いちごや cafe TANNAL」の情報も掲載されています。
また収穫したいちごを使った「飲むあまおう酢」や「あまおうコンポート」は、公式オンラインショップでも販売中。
そして、2022年には磯本農園の直営店3号店として『農園ソフトクリーム MARUde(マルデ)』をオープン。
磯本農園で取れたフルーツを使ったソフトクリームやジェラートが楽しめる、糸島の観光シーズンでもある夏にピッタリのお店です。
———いまのプロジェクトを始めたきっかけは何ですか?
糸島に住んで観光農園をやりたいと思ったのが始まりです。
———福岡市内(西区)から糸島に移住して、観光農業をやりたいと考えておられたんですよね。なぜ普通の農園ではなく“観光農園”なのでしょうか?
カフェをやりたいからですね。
自分が作ったフルーツを、自分のカフェで売る。農協さんに売って「はい、おしまい!」は嫌だったんです。
あまおう以外のフルーツ(メロンやマンゴーなど)を作っているのも、いちごが作れない時期にカフェで販売できるためです。
確かに普通の農家さんは、収穫した作物は農協などに売って利益を得ます。しかしそれだと、自分で販売するよりも、収益は下がりがちです。商売人として、当然の考え方だなと感じた筆者。
自分が売りたいものではなく、顧客が求めるものを売るのが商売人としてのあるべき姿なのかもしれません。
ものを作る時は、まずは売ることを第1に考えるんです。
———ただ「自分が好きだから」ではなく、「顧客のニーズのために」どうすれば良いかを考え抜き、結果として観光農園とカフェを経営されたんですね。
自分が作った農作物を1番良い形で売る方法、それが自身で運営するカフェで提供することだと思ったんです。
そう語る磯本さんの表情は、さっきまでもあっけらかんとした感じではなく、事業に全力を注ぐ経営者そのものでした。
電動ドリルを売るためには、穴を売ることを考える。顧客にとっての“価値”を第一に考えるという、マーケティングにおいて重要な考え方です。
仕事に対する考え方について
———農園にカフェと複数の事業を運営していて大変だと思います。そのような中、仕事に対するモチベーションはどのように維持しているのですか?
綺麗事を言えば、お客様の笑顔を見るためですかね。
でも本当はそれだけではなくて…。うちで働いているスタッフの笑顔も仕事のモチベーションにつながっています(笑)。
楽しそうに働くスタッフの様子を見て、勝手に元気をもらっているんです。
———最初は1人で事業を始められたそうですが、事業が大きくなるにつれ、自身の思いに共感する仲間が増えていったのだとか。
極論を言うと、スタッフは少ない方が利益は出るんです。
でもいまは、うちで働くスタッフが困らずに生活するにはどうすればいいのか、それを常に考えています。
顧客第一主義を掲げる企業は数多くありますが、磯本さんはいわば「従業員第一主義」の考え方。
『ES(従業員満足度)なくしてCS(顧客満足度)なし』という言葉があるように、顧客の満足度を高めるためには、まず従業員の満足度を高める必要があります。
そんな従業員思いの磯本さんですが、一方で経営を通じていくつかの課題も感じているそう。
ただ、農作物に収穫の波があるように、どうしても店舗運営においても閑散期というものが存在するんです。
そこの閑散期をどう改善していくかが、いまの課題ですね。
農作物の収穫がない夏はアイスクリームやジェラートで売上を確保し、秋にはイベント出店にも注力。年間を通して、常に売上を伸ばせるような施策を続けているそうです。
すべては自分の思いに共感してくれたスタッフが、充実した生活を送れるようにすること。
スタッフを大切に思う磯本さんの優しさが、モチベーションにつながっていました。
今後の展望について
———今後やりたいと思っている事業などがあれば教えてください。
テーマパークですね!子どもたちが遊べるテーマパーク。糸島にはこれといった子ども向けのテーマパークがないんです。
———確かに小さい子ども向けのテーマパークは、糸島には少ない気がします。糸島で小さい子どもが遊ぶといえば、もっぱら海水浴やいちご狩りなどが主流ですよね。
いちご狩りでたらふくいちごを食べた後は、もう子どもたちはやることがないんです(笑)。そんなときに「子ども向けのテーマパークがあれば案内できるのに」と思います。
磯本さんが作りたいのはズバリ、家族連れで遊べる『いちごのテーマパーク』です。
いちごの乗り物や動物へのエサやり体験など、もちろんいちご狩りやカフェでの食事も楽しめる。さらにいちご型のドームで宿泊もできたらいいなと思うんですよね。
———想像するだけで楽しそうですね!いちごが嫌いという子どもはそうそういないでしょうし、実現できれば新たな糸島の注目スポットになりそうです。
テーマパークの構想は、実は7〜8年前からあるんです。インタビューとかで今後の展望を聞かれた時には、テーマパークっていつも答えています(笑)。
———親子連れで楽しめるいちごテーマパーク、ぜひ実現して欲しいです!
最後に
———これから何か始めたいと思っている方へ向けて、一言あれば教えてください。
とりあえずやってみる!これに尽きますね。よく若いスタッフから「これやった方が良いですよ」とか言われるんですけど、そう思うならぜひやってみればって伝えています。
TikTokやインスタグラムも若いスタッフが中心になって始めました。まあ、最近は更新が止まっているようですが(笑)。
———磯本さん、本日は素敵なお話をありがとうございました!
磯本さんのモットーは、「とりあえずやってみる」。確かに準備運動はあくまでも準備運動。それではいつまで経っても、前には進めません。
そして磯本さんの会社では、スタッフがやりたいと思ったことに対して、チャレンジできる環境が整っています。
農業に興味がある方、自然が好きな方、モノ作りが好きな方はぜひ、磯本さんと一緒にチャレンジしてみませんか?