【糸島・志登】延喜式内社「志登神社」の境内に力強く生き続ける神名木

【糸島・志登】延喜式内社「志登神社」の境内に力強く生き続ける神名木

糸島の志登にある「志登神社(しとじんじゃ)」には、約1100年前に編纂された延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)に記載されたという歴史性があります。

この歴史ある神社の境内には、数々の境内社や夫婦楠、狛犬の装飾がある本殿や本殿裏にある神名木(しんめいぼく)など、たくさんの見どころがありました。

今回はこちらの志登神社の様子を詳しくご紹介していきます。

延喜式内社という歴史性、数々の境内社、本殿の裏にある神名木...魅力満載の「志登神社(しとじんじゃ)」

アクセス

志登神社(しとじんじゃ)は、JR筑肥線の波多江駅から徒歩約20分の場所にあります。

駐車場が広く、50台以上は停められそうなので車で訪れるのもオススメです。

実際に訪れてみると、志登神社は田んぼの広がる平坦な道の中に、ポツンと佇んでいるような印象でした。大通りからは少し離れた場所にあるので、しっかり地図で確認しながら訪れた方が良いでしょう。

 

延喜式内社とは

志登神社の入り口の様子はこのようになっています。

志登神社の至るところで紹介されている「延喜式内社(えんぎしきないしゃ)」について、ここで先にご説明しておきましょう。

延喜式内社とは、今から1100年ほど前の927年にまとめられた、延喜式神名帳(じんみょうちょう)という全国の神社の一覧に記載された神社のことです。

延喜式神名帳には、当時「官社」に指定されていた神社のみが記載されていたのだそう。つまり、この神名帳に記載された神社は10世紀初頭に朝廷とのつながりを持っていた神社であると考えられます。

延喜式神名帳に記載された神社(式内社)は全国で2,861社で、そこに鎮座する神様の数は3,132座であるそうです。

このことから、少なくとも1100年前には志登神社が存在していたことがわかります。とても長い歴史を持つ神社なんですね。

1つ目の鳥居をくぐったあとに見える石柱に刻まれた文字も、どこか風格を感じさせます。

こちらの大きな石は、万病平癒を願い神社の入り口に置かれているそうです。

それでは橋を渡り、神社の中に入って行きましょう!

境内には大きなご神木が待ち構えています。その大きな姿を仰ぎ見ているだけで、心が広くなっていきますね。

 

境内社

志登神社の境内には、本殿以外にもいくつかの神社があります。本殿の内容をご紹介する前に、まずはそちらを確認していきましょう。

こちらは、厳島弁財天。福徳・諸芸能上達の神、水の神、蓄財の神として信仰される弁財天を祀っているそうです。

社殿の周りには石がちりばめられており、遠くから見るとお金がいっぱい散らばっているようにも見えました。

こちらの弁財天は境内社の中で唯一、狛犬が鎮座していました。このことから、志登神社では本殿に次いで重視されてきたものと思われます。

続いて、こちらの神社。鳥居の文字は古くなって読めませんが、鳥居の向こうに玉の井(井戸)や太陽観測石と書かれたものが置いてあるのが興味深いですね。

志登神社の公式サイトによると、玉の井は元治2年(1865)正月元旦に奉納されたものであるとのこと。太陽観測石は伊都国時代の祈祷師が太陽を測るために用いた石とされているそうです。

続いてこちらでは、3社の神社が一緒に祀られていました。

左から十域別神(ときわけのかみ)と倉稲魂神(うかのみたまのかみ)を祀る志々岐神社、天照大神を祀る皇大神宮、須佐男命を祀る八坂神社になります。

他にも、菅原道真を祀っている松本天満宮などがありました。

 

夫婦楠

境内社の様子を確認したら、今度は手水舎(ちょうずや)とその付近にある「夫婦楠」についてご紹介します。

まず、手水舎はこのようになっています。右側が手を洗う場所ですが、左側には絵馬が置かれていました。

願い事を書いた絵馬は、すぐ横に掛けることができます。そして絵馬掛けの隣にあるのが、「夫婦楠」です。夫婦楠は、縁結びや子孫繁栄にご利益があるとのこと。

 

本殿・狛犬

それではいよいよ、本殿に向かっていきましょう。せっかくなので、もう1度神社の入り口に戻り、鳥居をくぐるところから行きたいと思います。

鳥居をくぐり、参道の上をまっすぐに進んでいきます。

本殿の前に辿り着きました。金色の縁に金文字で、格式が高そうな印象です。社殿は、少し明るめの色合いですね。

狛犬も見てみましょう。先ほど見た弁財天の狛犬と同じように、身を屈めて尾を立てています。今にも飛びかかって来そうな様子です。

さて、少し前に産宮神社を訪れたときに学んだ、「玉取り」口中の玉があるかどうか探して見ましょう。「玉取り」などについて、詳しくは 『【糸島・波多江】安産祈願だけじゃない!すべての方にオススメしたい「産宮神社」』をご覧ください。

上の写真からは、口の中に丸い玉が入っているのが見受けられます。下の写真は少し見づらいですが、右前足の下に玉があります。

前足も玉も一緒に、絨毯のようなものの中に埋まっているように見えますね。

わかりやすく拡大した写真がこちらです。これはじっくり見ないと気づかないかもしれませんね…。

 

本殿周囲の様子

本殿や狛犬の様子を確認したら、その周囲を歩き回ってみましょう。

こちらは厄除けの砂。宇美八幡宮にもありましたね。

本殿の側面に回ってみます。色々と装飾が施されているようですが、あれは一体…。

拡大してみます。この通り、狛犬を模した装飾が見つかりました。何だか面白いポーズを取っているように見えますね(笑)。

筆者が訪れた神社の記憶をたどってみると、このように本殿に狛犬の装飾が施されている神社は、わりと長い歴史があるような気がします。

本殿の隣に立って神社の外を眺めてみると、田んぼが見え、街が見え、その向こうに山が見えました。

空想にふけりながら立っていると、どれも今いる志登神社とはまるで別の空間のような気分がしてきます。

 

神命木(しんめいぼく)

本殿の奥に行ってみると、「神名木(しんめいぼく)」というパワースポットがありました。

神名木は2本あり、どちらも台風で倒れたものの死なずに生きているのだそうです。

台風で倒れたご神木は今までに何度か目にしてきましたが、ほとんどは切られて社殿の中に祀られているか、新しく若木が植えられていました。

志登神社のように倒れてもまだ生き続けるご神木というのは、珍しいなと思います。これらのご神木からは他の木よりも大きな生命力が感じられました。そばに立ち、深呼吸をしてそのパワーを分けてもらいましょう♪

神名木の近くには、火災消失前の神社拝殿鬼瓦と鞘殿鬼瓦が展示されていました。それぞれに糸島や福岡に縁のある原田家や黒田家の家紋が入っており、歴史的に貴重な資料です。

 

おわりに

今回は志登神社の様子をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

筆者はこれまで糸島の神社を色々と巡ってきましたが、新しい神社に巡り合うたびに「まだこんな面白い神社があったのか」とワクワクします。

今回の志登神社もまた、そんな神社の1つでした。1100年前に編纂された延喜式神名帳に記されるくらい古くからある神社であり、本殿には狛犬の装飾が施されており…。

さらに本殿の裏には「神名木」と呼ばれる、倒れても生き続ける力強いご神木があります。かつて使われていた瓦を境内に展示しているというのも、珍しいなと思いました。

ぜひ1度、実際に訪れてみてください♪

INFORMATION

店名:

志登(しと)神社

住所:

福岡県糸島市志登82

電話番号:

092-322-3388

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
おぬま

おぬま

歌って踊る学生ライター

MVP 2023

MVP 2023

あらゆる点から、2023年に最も活躍してくれたライターに贈られる賞です。

九州大学文学部の4年生。興味を持ったことは、とことん深めるタイプ。 今ハマっているのは、筋トレと瞑想と踊り。 YouTubeチャンネル「おぬまのダンスパラダイス♬」やブログ「おぬまの糸島探検記」を運営。 日本語検定1級、漢字検定準1級。