「つくる」体験から学ぶ!糸島のオルタナティブスクール「おとなとこどもの学校 Tetocoto」

「つくる」体験から学ぶ!糸島のオルタナティブスクール「おとなとこどもの学校 Tetocoto」

昨今、子どもたちの学びにもいろいろな選択肢が増えてきました。
糸島市のオルタナティブスクール「おとなとこどもの学校 Tetocoto(テトコト)」さんも、その選択肢のひとつ。

今回は「おとなとこどもの学校 Tetocoto」さんにお邪魔して、子どもたちがどんな風に過ごしているのか見学させていただきました!

毎日なにかをつくり、体験から学びを得る「おとなとこどもの学校 Tetocoto(テトコト)」

「おとなとこどもの学校 Tetocoto(テトコト)」さんとは?

「おとなとこどもの学校 Tetocoto(テトコト)」さんは、2022年5月に設立された糸島のオルタナティブスクール。オルタナティブスクールとは、公立小学校とは違う教育方針やカリキュラムをもつ学校のことです。

テトコトさんの子どもたちは、「つくる」を通した体験からさまざまなことを学んでいます。学校を設立や運営に関わる方々は、なにかしら「つくる」ことに関係した人たちばかり。そんな大人たちと一緒に、子どもたちは毎日なにかをつくって過ごすそうです。

テトコトさんで過ごすなかで、体験したことや感じたことは「どんぐり算数」でアウトプット。「どんぐり算数」とは絵を書いて解く算数のことで、テトコトさん唯一のカリキュラムとして採用されています。

問題を理解する力やイメージを絵に表現する力が必要で、考える力を身につけられるそうです。

 

元旅館をリノベーションしたあたたかい校舎

糸島市から唐津市に向かうバイパスを少し外れ、険しい坂道を登った先に「おとなとこどもの学校 Tetocoto」さんはあります。

校舎は元々旅館だった建物を改装。坂を登っていると、校舎から子どもたちの元気な声が聞こえます。

設立は新しい学校ですが「ずっとここにあった歴史ある学校」ような、あたたかさや懐かしさを感じました。

玄関では大きなキリンや猫、犬の置き物が出迎えてくれました。なんと新聞紙で作ったクラフト作品なんだそうです…!

1日を過ごすのは奥の大きな部屋。キッチンにもつながっており、お昼ごはんもここで食べます。ベランダからは深江の海が見えました。

図書室になる予定のお部屋。まだ作業の途中で、猫のくつろぎスペースになっていました。

校舎のリノベーションから敷地の開拓まで、少しずつスタッフの方々の手作業で進められているそうです。

 

テトコトさんでの子どもたちの過ごし方

●午前中はみんなで決めたことをみんなでやる

朝10時になると、子どもたちとスタッフが円になって座りはじめます。「サークル」と呼ばれるその時間では、「その日の午前中、みんなで何をするか」が話し合われていました。午前中は、みんなで決めた何かに一緒に取り組むそうです。

「今日は5時に起きた」「最近こんなことがあってうれしかった」などの近況報告なども交えながら話し合いは進みます。

「工作のまちづくりの続きがしたい!」「私は迷路をつくりたい!」「迷路づくりに賛成!」

活発な話し合いの結果、その日は「大きなメロンの絵に迷路をつくる」に決定。みんなで準備をはじめます。

大きな紙に大きなメロンの形を書き、スタートとゴールの位置を決めたら、みんな思い思いの迷路を書き始めました。

絵具で書いたり色鉛筆で書いたりと、書くものは自由。豪快に大きな道をつくっていく人もいれば、目がチカチカするほど緻密な迷路をつくっていく人もいました。

「ここは絶対誰も通れない!」「なにその絵、かわいいね」「え、そこふさいじゃうの?」

子どもも大人も入り乱れて、一心不乱に「メロンの迷路づくり」が進んでいきます。

 

●お昼ごはんはみんなでつくる

「自分たちでつくらないとお昼ごはんが食べられない」というのも、オルタナティブスクールであるテトコトさんならでは。

迷路づくりも終盤に差しかかり正午が近づいてくると、「私、そろそろご飯つくるね」とお昼ごはんづくりが始まります。

「迷路づくりはここまで!」「ごはんつくりましょう!」のような大人の指示ではなく、ヌルッとお昼ごはんづくりがはじまったのには驚き。自然と迷路の仕上げ班・料理班・片付け班に分かれ、それぞれの作業が進んでいきます。

包丁を上手に使って野菜を切ったり、コンロに火をつけて汁物をつくったり、慣れた手つきでお昼ごはんづくり。

部屋では同時進行で片付けと食事の準備が進められます。座る位置は毎日みんなで話し合いながら決めているようでした。

そうしているうちに「メロンの迷路」が完成。「いっつも超大作ができちゃうんだよねー」と笑っていました。

「ゴールできるの…?」と尋ねると「たぶんムリ。」とも。お時間のある方は、写真を見ながらチャレンジしてみてください!(ゴールはメロンの底の部分です)

お昼ごはんが完成すると、みんな自分の分を取りに行きます。

おかず用のお皿を使わず、茶碗に白米をよそったその上におかずを乗せながら、「こうすれば洗い物が減るんだ」という子も。手間を省くための工夫ですね!

 

●午後はそれぞれ好きなことをして過ごす

午後は子どもたちそれぞれが好きなことをして過ごします。工作の続きをしたり本を読んだり、青梅のシロップ漬けを作ったりする日も。教室には、子どもたちの作品がたくさん飾られていました。

最近まで粘土ブームだったとのこと。ひとり板一枚の敷地のなかで、個性のある世界を作っていました。子どもたちで通貨をつくり、クオリティの高い粘土作品は取り引きされることもあったそう…!

本や工作用の道具もいろいろ準備されています。思い立ったらすぐに何かつくり始められますね!

部屋にはブランコもあり、室内でも体が動かせます。一緒にお邪魔した私の息子も使わせてもらいました!

 

テトコトさんは「おとなの学校」でもある

「おとなとこどもの学校 Tetocoto」という名前にもあるように、テトコトさんは「おとなの学校」でもあるそうです。

子どもとの接し方については、スタッフ同士はもちろん、保護者との間でたびたび話し合う機会があるとのこと。

印象的だったのは「罰と報酬」の考え方についてのお話です。

「〜をしたら怒るよ!」「〜してくれたらご褒美をあげるよ!」というように、子どもの行動を導く方法として長年使われてきた「罰と報酬」ですが、子ども自身が何をするか決める能力を損なうという考え方もあります。

子どもの主体性を重視しているテトコトさんでは、スタッフや保護者が子どもと接するときに、「あれ、今の罰と報酬ですよね?」と指摘し合うこともあるそうです。

ときには納得して自分の行動を変えてみたり、ときにはモヤっとしたり、大人もいろいろなことを感じて学びながら過ごしているとのこと。

「おとなとこどもの学校 Tetocoto」という名前に込められた思いが感じられました。

 

テトコトさんでは子どもと大人が一緒に成長していく

「おとなとこどもの学校 Tetocoto」さんは、子どもと大人が一緒になって成長していくオルタナティブスクールです。学校そのものも、これからどんどん進化していくのでしょう。

のびのびと過ごす子どもたちと、部屋を埋め尽くす子どもたちの作品がとても印象的でした。

テトコトさんでは、見学や体験の希望も受け付けているそうですので、気になる人は問い合わせてみてくださいね。

INFORMATION

店名:

おとなとこども学校 Tetocoto

住所:

福岡県糸島市二丈福井454−1

電話番号:

090-9650-5882

営業時間:

9:00〜16:30

定休日:

土・日・祝

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
とみー

とみー

パパライター

ベストライター 2023

ベストライター 2023

meets糸島公認ライターがまず、お手本にするべきライターだと考えられるライターに2023年に贈られる賞です。

福岡県中間市出身。18歳で福岡を出て香川で6年、埼玉で7年を過ごし、2023年2月に妻・息子と糸島に移住。移住の理由は「なんとなく」。現在はフリーランスのWebライター・Web編集者として活動しています。趣味はお酒と音楽、子どもを連れての糸島探検です!子育て世代目線での糸島の魅力を発信していきます!