糸島に長野川という川があり、川沿いの「勝軍(しょうぐん)橋」のそばに「東正八幡宮(ひがししょうはちまんぐう)」という神社があります。
こちらの神社には、肥前狛犬という今では珍しい型の狛犬がおり、しかも通常の肥前狛犬よりかなりビックサイズ。その希少価値の高さは留まるところを知りません。
ムクノキやナギといったご神木や、神社付近にある原田種直公のお墓など、東正八幡宮には見どころがたくさん。
今回は、その東正八幡宮の様子をご紹介します。
目次
狛犬やご神木、原田種直公のお墓など見どころがいっぱい!「東正八幡宮(ひがししょうはちまんぐう)」
アクセス
東正八幡宮(ひがししょうはちまんぐう)の最寄り駅は、JR筑肥線の加布里駅。加布里駅から徒歩約20分のところにあります。
東正八幡宮のそばには、長野川という川が流れています。
筆者は早朝にここを訪れたのですが、朝の川辺の空気というのは格別でした!
ここか…?
長野川に沿って歩いていくと、大きな鳥居が見えました。
「さてはここだな!」と思い、鳥居をくぐって見たところ…。
「あれ?ここか…?」
鳥居の向こうには、ただ広いグラウンドが広がっているのみ。
神社っぽい建物は見当たりません。
この辺りに神社があるのは間違いないので、もう少し探索を進めてみましょう。
入り口
長野川沿いを、さらに北上していきます。
しばらくすると、橋が見えてきました。「しょうぐんばし」と書いてあります。漢字は「勝軍橋」と書くようです。
この勝軍橋を左手に見ながら右を向くと、神社っぽいものが見えてきました。接近してみましょう。
間違いありません。こちらが「東正八幡宮」になります。
さっそく中に入ってみましょう!
本殿
中に入ったらまず、手水(ちょうず)で手を洗いましょう。
それから、本殿に参拝します。ちょうど日が射して、辺りに神々しい雰囲気が漂っているようです。
実際は、直射日光の熱さで汗が噴き出しましたが…。
こちらの狛犬は、どこか変わっています。
調べてみると、こちらは「肥前狛犬」という型の狛犬だそうで、江戸時代中期以前、16~18世紀の160年間に佐賀、福岡、長崎の一部で奉納された狛犬とのことでした。
一般的には小型のものが多いようですが、東正八幡宮にあったものは1メートル近くあり、かなり大型でした。
ちなみに、全国的に有名な狛犬は江戸時代中期以降に作られた「唐獅子型狛犬」。唐獅子型の方は、大型で躍動感があるのが特徴なのだそう。
東正八幡宮の狛犬を見たときに筆者が違和感を感じたのは、普段見慣れているのとは違う「肥前狛犬」であったことと、肥前狛犬の割に大型であったことの2点が原因と思われます。
疫神社
本殿から左に行くと、疫(えき)神社があります。
疫病除けの神社として、日本全国に建てられている神社です。
疫神社の裏にあるご神木は大きく、まっすぐ空に向かって伸びています。
これらのご神木のように、強健な人生を歩んでいきたいものですね。
ご神木(ムク)
さて、東正八幡宮の中には何本ものご神木がありますが、その中でも保存樹に指定されているものがあったので、ご紹介します。
まずはこちらの、ムクノキ。高さは20メートル以上あり、推定樹齢は200~300年とされています。
よく見ると、面白い形をしていますね。
剛毛のある葉っぱは、以前は物を磨くサンドペーパーとして利用されていたそうです。
ムクノキのそばには、庚申塚がありました。こちらも、庚申様を祀るために日本全国の道端などに作られているものです。
最初の頃は新鮮な驚きがあったのですが、神社を色々と巡っているうちに、庚申塚を見慣れてしまい「ああ、ここにもあるな」と思うようになりました(笑)。
ご神木(ナギ)
続いて、ナギ。下の写真の右手に見えるのは、熊野宮です。
熊野宮については、後ほどご紹介します。
木の下まで行って、見上げてみましょう。大きいですね~。
こちらのナギの高さは16メートルで、推定樹齢は250~300年。
本殿に向かって右側に植えられていますが、左側にも同形同大のナギが植えられており、左右対称になっているとのこと。
古来ナギは「凪」に通じ平和の木として、現世安穏を説く熊野権現の象徴木として知られているそう。
熊野宮
熊野権現の象徴木として知られているナギの木のすぐそばには、熊野宮があります。
ご神木や本殿などの建物が古風であるのに対し、熊野宮はやけに新しく見えます。
なぜだろうと思っていると、神社の本殿のところに新聞記事が貼ってあるのを発見。
それを読んだところ、「台風10号の影響で倒れたご神木(ムクノキ)が熊野宮を直撃し、熊野宮は押しつぶされるように大きく損壊した」とのこと。
新聞記事だけではいつのことかわからないので、色々と調べてみると2020年9月の台風のようでした。
もう1度、ムクノキの写真を見てみましょう。「面白い形」だと思っていたのは、台風によって木の途中から折れてしまっていたからなのでしょうか。
しかし上の写真の下の方をよく見てみると、切り株がいくつか見られます。倒れたのは、別のご神木かもしれません。
周囲の景色とあまり馴染まない新しい熊野宮には、このような悲しい過去がありました。
気持ちの良い空間
ご神木に朝日が射して、爽やかな風も吹いてきました。
とっても良い気持ちです。
神社は現代社会の中にありながら、今なお古(いにしえ)の空気を残している、そんな場所だと感じます。
心がサッパリするので、ときどき神社に行きたくなります。
原田種直公の墓
東正八幡宮のそばには、原田種直公の墓がありました。
原田種直とは、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将。糸島の史跡を巡っていると、色々なところでこの名前を目にします。
ところが、彼のお墓を見るのは今回が初めてでした。
何か特別なものに巡り合った気がして、思わず深々と頭を下げてしまいました。
なお、原田種直公の正式な墓は糸島市二丈の龍国寺にあるようです。
おわりに
今回訪れた東正八幡宮には、異様に大きな肥前狛犬や力強いご神木など、さまざまな見どころがありましたね。
また、台風の影響で倒壊し新造された熊野宮を見たとき、「いかに古くから続いてきた神社の建物であっても、自然の力には敵わないんだな」と、改めて自然の偉大さを感じました。
神社にやってくると、自然や霊的な存在を全身で感じ取ることができます。
「自分は何て小さな存在なんだ」と己の弱さを思い知ることもあります。
そのような体験は、人生を生きていく中で、きっと役に立つことでしょう。
ぜひ、糸島にあるさまざまな神社を訪れてみてください。
INFORMATION
店名:
東正八幡宮
住所:
福岡県糸島市東1105
電話番号:
092-323-6806
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