【糸島】園児が夢中!住宅建築の端材から椅子と写真立て SDGs学ぶ
糸島市千早新田の松吉建設(まつよしけんせつ)さんは、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、住宅を建てる際に出る端材を活用し、幼稚園や保育園で木の椅子や写真立てを作ってもらう企画「出張こども大工」を始めました。従来は端材をやむを得ず捨てていたそうです。
糸島市の前原中央保育園さんで催された第1弾のイベントにお邪魔しました。
園児たちは、木工細工に夢中になりながら資源を大切にすることを学んでいました。
目次
糸島市の松吉建設さんが企画し、今後も年2、3回開催。糸島半島周辺で参加の幼稚園と保育園を募集中
暑さに負けない元気いっぱいの園児たち
晴れ渡った空と、まばゆい日差し。前原中央保育園さんで初めての「出張こども大工」が開かれた2024年5月18日(土)は、汗ばむほどの夏日に。それでも園児たちは元気いっぱい。
園庭に張られたテントの下で、年長の42人が椅子と写真立て作りに挑戦しました。
子どもたちは、あらかじめ準備された部品を組み立てます。椅子の座面の裏には園児が名前を書き、手形を押していました。
座面と足をボンドやネジで組み立てたり、「ダボ栓」と呼ばれる木の棒でネジ穴をふさいだり。電動ドライバーでねじを締めたり、はみ出した部品をのこぎりで切ったり。
笑顔で器用に作業をこなす様子に驚かされます。
写真立ては、金づちで釘を打ったり、シールを張ったりして仕上げます。写真立てに入れるキリンやウサギなどの絵も自分たちで描いていました。
取引企業の勧めで36歳の常務さんが企画
このイベントを企画したのは、松吉建設の4代目で常務取締役の松吉孝達(まつよし・こうたつ)さん(36)です。分譲マンション施工などで付き合いのある北九州市の大英産業(だいえいさんぎょう)さんが既に「こども大工」に取り組んでおり、「糸島でもやりませんか」と声をかけられたのがきっかけとのこと。
松吉建設さんでは、事業の約1割を戸建て住宅建設が占めています。家を建てる際に柱の長さなどを調整すると、どうしても端材が発生します。これまでは活用法がないため「もったいない」と思いつつ、仕方なく廃棄していました。大英産業さんの提案を受けて「ぜひやりたい」と思ったそうです。
端材は、糸島市内の福祉サービス事業所「MUKA」さんで、障害のある人たちがカットしたり磨いたりして、椅子と写真立ての部品に加工してくれています。これが、障害のある人たちの仕事を生み出すことにもつながっています。
大工さんも感心
この日は、松吉建設さんの大工・原田信二(はらだ・しんじ)さん(62)も園児たちと一緒に椅子と写真立てを作りました。原田さんは「みんな上手でした。木工に興味があるんでしょうね」と満足そうな表情を見せました。
今回の端材は4カ月ほど前から建築現場で出たものをためていたそうです。「将来、大工になりたいという子が出てきたらうれしいですね」とほほ笑みました。
園児みんなが椅子と写真立てを無事に作り上げました。ケントくん(5)は「ドリル(電動ネジ回し)が面白かった」と笑顔を見せていました。
保護者さんに見守られながら、松吉建設の社員さんや、多くの協力企業のみなさんと一緒に作品を作り上げた園児たち。
その表情には充実感があふれていました。
多くの人の協力で実現
前原中央保育園さんは、松吉建設さんが園舎を建てた縁があり、松吉さんが声をかけて第1弾の会場になりました。大英産業さんのほか、松吉さんと交流のある福岡銀行さん、西日本シティ銀行さん、キンコーズさんなど約10社が協賛企業としてイベントの運営を手伝いました。
多くの人の協力で催しが実現したことに松吉さんは感謝していました。
今回は、協賛企業からの協賛金や、園児1人当たり1,000円の参加費で、イベントの運営費やMUKAさんへの部品加工代の支払いを賄いました。今後も継続して年2、3回ほど「出張こども大工」を開いていく計画です。糸島市や福岡市西区の幼稚園、保育園から開催希望を募りたいとのこと。問い合わせは松吉建設さんまで。
糸島市は23年5月に国から「SDGs未来都市」に選ばれています。松吉さんは「民間レベルではまだSDGsが浸透していないと感じます。私たちの取り組みがSDGsを意識した街づくりにつながればいいですね」と期待していました。
これまでもSDGsの「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任 つかう責任」といった目標に取り組んできた松吉建設さん。
その姿勢に、多くの賛同が寄せられ「出張こども大工」も実現できたのだろうと感じました。
これからもこのイベントが続いていけばいいなと願いつつ、会場を後にしました。
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