【糸島・有田】女王の王墓だった?豪華な副葬品で知られる「平原遺跡」

【糸島・有田】女王の王墓だった?豪華な副葬品で知られる「平原遺跡」

田園地帯に住宅が点在する糸島市有田に「平原遺跡(ひらばるいせき)」はあります。
やや内陸の、のどかな場所にあるこの遺跡からは約1800年前の弥生時代後期の王墓(平原1号墓)が1965年に見つかりました。40枚の銅鏡のほか、瑪瑙管玉(めのうくだたま)といったアクセサリーなど、国宝に指定された豪華な副葬品が出土しており、中国の史書「魏志倭人伝」に記された伊都国(いとこく)の女王の王墓だと考えられています。

日本の歴史上でも貴重な遺跡をこの目で確かめたくて現地を訪ねました。

のどかな田園地帯に、こんもりとそびえる「王墓」。日本の歴史上、重要な「平原遺跡(ひらばるいせき)」を見に行こう!

平原遺跡へ向かう

平原遺跡へのルートを紹介します。国道202号バイパスの飯氏(いいじ)信号から県道56号を南下。約2キロ進むと染井の信号に到着しました。ここを右折しましょう。

約1.5キロ行くと井田交差点が見えてきます。このまま直進します。

500メートルほど先に「平原歴史公園」の看板があるので、ここを左折します。

着きました。北駐車場に車を止めて、まずは多目的広場を見ることにします。

 

説明板を見て回る

北駐車場そばの多目的広場は、王墓と少し離れた場所でした。説明板がたくさんあったので、せっかくですから見ていきたいと思います。

1965年、農作業中に偶然見つかった平原遺跡。曽根遺跡群として国史跡に指定されています。

弥生時代後期~古墳時代前期の5基の墳墓がある遺跡で、そのうち1号墳が弥生時代後期の王墓と考えられています。東西方向14メートル、南北方向11メートルの長方形の墳丘で、周囲を周溝と呼ばれる溝が囲っていました。

内面を朱で赤く塗った木棺の中から、胸のあたりに青いガラス製の勾玉(まがたま)、傍らにガラス小玉が見つかりました。棺の内外から、耳璫(じとう)というピアス、瑪瑙(めのう)管玉も出土。このため被葬者は女王だったと考えられています。

破砕された銅鏡40枚、鉄素環頭大刀も出てきました。副葬品はまとめて国宝に指定されています。

40枚は、1カ所の墳墓から見つかった銅鏡の数としては国内最多です。

1号墳の西側には2対の鳥居のような柱跡がありました。鳥居側から墳墓方向を望むと、一直線上に大柱跡と日向峠(ひなたとうげ)が望めるそうです。これは、弥生時代の伊都国の人たちが、日向峠に聖なる意味を見いだしていたと推定できます。

 

王墓に向かう

王墓に近づきます。近くまで来るとまた説明の看板がありました。

説明看板の右の写真は、先ほど触れた日向峠の写真。10月20日の日の出は、鳥居から墳墓を通じて見ると、日向峠から昇ってくるとのこと。神秘的です。

いろいろとロマンのあることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

看板から目を移すと奥に王墓(1号墓)が見えました。のどかな景色です。1800年前、ここに王墓が造られたのですね。

まだ1号墓に近づかずに南へ歩くと王墓見学用の駐車場があります。古い看板が掲示されていました。

王墓に向かいます。壁面に銅鏡や鉄刀などの出土物を配した陶板壁がありました。

石碑も。

1号墓に着きました。鳥居があったと思われる場所から墳墓を通して日向峠を見ました。神秘的です。

説明板も見ましょう。弥生人は高祖山や日向峠を神聖視していたのでしょうか。

1号墓のかたわらにパンフレットと一緒に感想ノートが置いてありました。

感想ノートを読んでみると、「夏休みの宿題ですぐ近くから来ました」「愛知県より来ました。中日新聞の連載に出ていて、いつか来てみたいと思っていました」など、地元の歴史に興味を持った子や、考古学ファンの熱意が伝わります。中には「クワガタはどこにいますか?」という書き込みも。

私もメッセージを残しました。

ベンチのテーブルにも銅鏡がデザインされていました。

 

伊都国歴史博物館で出土物を見る

実際に遺跡を見た後に、出土物を観察したいと思い、糸島市井原の伊都国歴史博物館(いとこくれきしはくぶつかん)に向かいました。前回の記事で紹介した施設です。

まずはアクセサリーを鑑賞しましょう。

ガラス勾玉と瑪瑙管玉。

ガラス小玉。

耳璫。女王のピアスです。

ガラス小玉の塊です。

ガラス管玉とガラス連玉。

次に銅鏡を見ます。

すべて国宝。壮観です。

内行花文鏡(ないこうかもんきょう)という銅鏡です。

方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)。

銅鏡の銘文で、当時の中国など、どこの工房で作られた物かが分かるそうです。弥生時代にこんなにも文明は進んでいたのですね。勉強になります。

国産の銅鏡もあったようです。

着色された銅鏡もありました。弥生時代の銅鏡で着色された例は、平原遺跡だけだそうです。

他の出土物もありました。素環頭大刀。さび付いています。

平原5号墓の壷棺。

平原1号墓の鉄鏃。鉄製の矢じりです。

平原1号墓の実物大の復元模型です。

現地を見た後では、また実感が違います。弥生時代の伊都国に思いをはせました。

糸島市を代表する平原遺跡。現地の墳墓と博物館の展示物を見ることで、重層的、多角的に歴史のロマンを楽しむことができました。あなたも地域の宝を知ってみたいと思いませんか?

INFORMATION

店名:

平原遺跡

住所:

福岡県糸島市有田

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

INFORMATION

店名:

伊都国歴史博物館

住所:

糸島市井原916

電話番号:

092-322-7083

営業時間:

9:00~17:00
※入館は16:30まで

定休日:

月曜日と年末年始
※月曜が祝日の場合は、その翌平日が休み

一人当たりの予算:

一般220円、高校生110円、小中学生と65歳以上は無料

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WRITTEN BY
のんちゃん

のんちゃん

現役ライター

ライター歴27年の50代男性。フルマラソン出場15回(うち福岡マラソン4回)。ソフトボールも趣味で、おじさんチームの監督をしている。糸島の野菜や魚介類の直売所や、海鮮丼などが食べられる飲食店が大好き。糸島半島の古墳や遺跡、神社にも興味がある。