こだわりのいっぴん
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こだわりのいっぴんvol.1 |使いやすさを追求した小石原焼の器
山と海に囲まれた糸島半島。
そんな自然豊かな環境に惹かれて、陶芸や木工、レザークラフトなどさまざまな作家が工房を構えています。
連載企画「こだわりのいっぴん」では、糸島で活動する個性豊かな作家たちを紹介!
手掛けた作品のなかでも、特にこだわりが詰まった「逸品」を教えてもらいます。
第1回目は「うつわと手仕事の店 研」を営む陶芸家・敦賀研二(つるが・けんじ)さんです。
vol.1 うつわと手仕事の店 研 敦賀研二さん
糸島・志摩初の閑静な住宅街。
歩いていると、ひときわ存在感を放つ建物が現れます。
「うつわと手仕事の店 研」は、陶芸家・敦賀研二さんの工房とギャラリーを兼ねたお店です。
築60年以上の古民家を改装した店内には、敦賀さんの作品のほか、全国各地のクラフト作家の作品も並んでいます。
「大学をやめて何をしようか考えた時に、高校の陶芸の授業が記憶に残っていたんです。何もないところから器ができていくのがとてもおもしろかった。」
大阪府で生まれ千葉県で育った敦賀さんは、大学進学を機に九州へ。
大学を中退後、高校時代に受けたの陶芸の授業を思い出し、それまでほとんど触れたことのなかった陶芸の世界に飛び込みました。
全国のさまざまな工房を巡った結果、福岡県東峰村の伝統工芸「小石原焼(こいしわらやき)」に出会います。
人間国宝の福島善三さんに師事し、5年間の修行の後、独立して糸島に工房を構えました。
「師匠からは器の持つ美しいライン、自然な曲線を教えられました。手作り感と正確性の両立を意識しながら作品作りに取り組んでいます。」
敦賀さんが作るのは、小石原焼の素朴なあたたかさを残しながら、機能性を追求した日常の器。
「手作り感」と「正確性」という、一見すると両極端にある2つが絶妙なバランスで融合しています。
カラーバリエーションもさまざまです。
柔らかな印象に仕上げたマットなアイボリーに、鉄分を10%以上含んだ釉薬(ゆうやく)を使い乱反射するような輝きが特徴の黒。
そして、白で描かれた模様とツヤのある表面で青の美しさが引き立つ青磁。
●茶わん 2,000円~2,700円(税込)
3色展開している茶碗は、それぞれの色の違いが分かりやすく、特に人気の高い商品です。
このほかにも、直火・レンジ・オーブンが可能な耐熱皿や使い勝手の良いとんすいなどが人気を集めています。
どれも手にしっくりとなじむような触り心地。シンプルだからこそ料理が映えるよう計算された形になっています。
そんな敦賀さんの「こだわりのいっぴん」は、コーヒーポットとドリッパーのセット。
●ドリッパーセット 18,000円(税込)
土の質感を残したデザインで、ポットの中には茶こしがついているのため急須としても使えます。
「ポットの注ぎ口を長めに作ることで、中身が垂れないようになっているんです。実際に自分で使ってみて、改良を重ねて今の形ができました。」
工夫はもうひとつ。それが、一見変わった場所についた取っ手です。
一般的にはフタの中心についている取っ手。
それを持ち手の近くに移動させることで、ポットを持って傾けた時、フタが落ちないよう親指で抑えられるようになっています。
この取っ手は、考案した敦賀さん自身も大のお気に入り。他のポットや急須にも用いられていて、お店のマークにもなっているんです。
一度に800cc淹れることができるというたっぷりサイズ。持ってみると軽すぎず、それでいて手に負担が少ないちょうどいい重さもこだわりのひとつです。
大きな取っ手も、持ちやすいようにと使い手のことを考えたデザイン。
「ポットもお皿も、お客さんからいろいろな使い方を聞くとうれしいですね。なかには『毎日使っています』と言ってくださる方もいるんです。」
優しい表情が印象的な敦賀さんですが、作品について語る言葉の端々からは陶芸に対する情熱が伝わってきました。
家族と一緒に移り住んだ糸島の地で作品に磨きをかけながら、半島で活動する作家が集まる「糸島クラフトフェス」を立ち上げるなど、作家同士のつながりも大切にしているそう。
敦賀さんが作る暮らしに寄り添った作品の数々に、心動かされること間違いありません。
INFORMATION
店名:
うつわと手仕事の店 研
住所:
福岡県糸島市志摩初232
電話番号:
092-327-2932
営業時間:
11:00~17:00
定休日:
火曜日・水曜日
一人当たりの予算:
¥1,000~
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。